Wearable嗅覚ディスプレイ
嗅覚ディスプレイとは?
複数の匂いを任意の割合で調合してユーザに提示する装置です。
SAWデバイスを用いた嗅覚ディスプレイ
当研究室ではマイクロポンプで微小量の香料を搬送し、弾性表面波(SAW)デバイスで霧にする方式の嗅覚ディスプレイを開発しています。
ここでSAWデバイスは圧電基板に櫛形電極を実装した基板であり、高電力を入力すると霧化器として動作します。
この嗅覚ディスプレイは、
- 匂い残りが少ない
- 駆動音が小さい
- 匂いの切り替えが高速
などの特徴があります。 タブレット端末に装着できる大きさの嗅覚ディスプレイを開発しましたが、さらなる小型化と安定化が必要であると考えています。
装置の小型化
嗅覚ディスプレイを小型化するために、従来より小型なマイクロポンプを採用しました。
新しいマイクロポンプの組み込みを行うために、
- 3Dプリンタを用いた液貯め付き治具の作製
- 部品点数の少ない駆動回路の作製
を行いました。 その結果、装置全体の大きさを40%削減することに成功しました。
SAWデバイス駆動の安定化
SAWデバイスを連続で駆動すると、駆動時に生じる熱によって最適な共振周波数がシフトすることが問題となりました。 そこで、温度変化を赤外線温度センサでモニタリングし、その温度に基づいてSAWデバイスの駆動周波数を調節するシステムを構築しました。
この周波数補正を行うことによって、SAWデバイスを連続で駆動したときの霧化能力が持続し、安定性の向上に成功した。
今後の展望
嗅覚は人の感情に強く作用する感覚であると言われています。
嗅覚ディスプレイをテレビ・PCなどと連動させることで、ゲーム、映像、電子公告、教育にさらなる臨場感と没入感を演出することができると考えています。
今後の展望として、嗅覚ディスプレイをウェアラブル化し、ヘッドマウントディスプレイと連動させることで臨場感のあるコンテンツ作りを目指しています。